2013年10月15日火曜日

香川が早急にマンUから移籍したほうが良い3つの理由


一昨日のセルビア戦は、すでに色々なところで酷評されているので、今更ここで論じようとは思わない。

内容も結果も褒められるようなものではなかった。

ザッケローニの凝り固まった戦術と試合後のコメントを見る限り、もはやポジティブというよりも脳天気と表現したほうが良いだろう。

セルジオ越後氏も評しているとおり、このままの体制でワールドカップを迎えても結果は見えている。


ところで、僕が一番気になったのは香川のパフォーマンスである。

所属しているマンチェスターユナイテッドでは、モイーズ新監督の戦術にフィットしないという理由から先発出場する機会が少なく、試合感を取り戻せていないことがプレーに大きく影響しているようだった。

試合にでれない状態が続いていると、フィジカルとパフォーマンスの低下を招く。
とにかく、試合出場できる状態に身を置くことを最優先に考えるべきである。

その上で、香川には早急にマンUから他クラブに移籍したほうが良いと思われる理由を説明しよう。


①香川はトップ下でこそ輝く選手

ドルトムント時代に活躍して、その輝きを放っていた香川本来の良さを最大限活かせるトップ下での起用は、今シーズン一度もなく、それは日本代表においても同じ状況が続いている。

香川という選手は、1人で局面を打開してゴールをあげることや、身体をはってキープすることが強みではない。
最大の武器は、周りとの連携によるスピーディーな動きながらのパスワークと繊細でしなやかなボールタッチにより、ペナルティエリア付近で決定的なパスやシュートを放つことができるというものだ。

これを最大限活かすためには、香川はトップ下でなければならない。
左サイドでは、本当の意味での脅威にはならない。というか、なりえていないと結果が示している。

もちろん、そのことは香川自身が一番わかっていることだろう。
しかし、チームの戦術的な理由や他選手との兼ね合いなどから、本来最も力が発揮されるであろうポジションを与えられていない。

これはとても不幸なことであり、彼のキャリアや日本代表の未来を考えても、決して良い状態とはいえないだろう。


マンUにはルーニーがいる。日本代表には本田がいる。
どちらもチームを代表する選手であり、替えのきかない存在である。

確かに、1プレーヤーとしての比較で考えれば、シュート力やフィジカル、キープ力などは見劣りするかもしれない。
監督が、トップ下にそういう役割を求める戦術をとっている以上、香川にトップ下を任せられることはないだろう。

しかし、チーム全体の戦力アップ、成長の可能性を考えれば、香川こそトップ下に配置して、それを前提にしたチーム作り、戦術を優先するべきではないかと思う。

現代サッカーでは、攻守の切り替えが早く、組織の高い連動性と個人スキルを融合させたスピーディーなサッカーでなければ、とても世界一を目指すことはできない。

その良い参考例が昨シーズンのバイエルンやドルトムント、コンフェデで優勝したブラジルのようなチームである。

それぞれ、チームとしての特徴は違うが、他チームにはない強みは実は共通している。

クロップが香川に戻ってきてほしいと言い続けているのは、サポーターから熱望されているという理由だけではない。

ドルトムントをチャンピオンズリーグ上位進出の常連にし、真のビッグクラブとしてバイエルンと双璧となりうるために、絶対に必要なピースとして香川を考えているのだ。

そして、その適正なポジションは間違いなくトップ下である。

したがって、マンUで仮に出場できるようになったとしても、トップ下での起用でないのであれば、移籍するべきだ。

香川にはビッグクラブでのプレーにこだわるのではなく、自分が最も輝けるポジションでプレーすることにこだわってほしい。


②監督を変えるのは難しい

どんな組織でも、部下が上司を変えることは難しい。

同じように、モイーズの考え方を変えることは、とても困難なことだ。

可能性がゼロとは言わないまでも、大変時間がかかることが十分考えられるし、ワールドカップ前という香川のキャリアで最も大事な時期に自分を適正に評価してくれない上司のもとで働くことは、不幸以外の何ものでもない。

また、成績不振から監督が交代することもあり得るが、マンUのこれまでの姿勢や監督交替の経緯を見る限り、その可能性も低いと言わざるを得ないだろう。

香川の置かれた今の厳しい現実に対して、忍耐力がつくとか、人間的に成長できるとか、へたに励ますコメントをたまに見かけるが、そんなものは気休めでしかない。

プロである以上、自分が最大限評価され、ベストパフォーマンスを発揮できる環境を自ら獲得するべきだ。


残念ながら、モイーズは香川の最も適正なポジションはトップ下であるとわかっていながら、左サイドで使うことを明言している。

ルーニーという存在が、その理由であろうことは明白だ。

ある意味では仕方が無い。
マンUは世界を代表するビッグクラブであり、同時にイングランド代表を多数抱えるプレミアリーグのトップチームであるからだ。

イングランド代表の攻撃的な核であるルーニーを優先させるのは、ある意味当然といえる。

ルーニーの1トップ、香川のトップ下というフォーメーションも考えられるし、昨シーズンはそれで機能した試合もあったが、ファンペルシーという希代のストライカーの存在が、その希望さえも困難にする。

それらを踏まえて、厳密に表現するならば、マンUというクラブから移籍したほうが良いということではなく、「今の」マンUからは移籍したほうが良いということになるだろう。

つまり、今のマンUでは、香川が輝けるために必要な要素を満たすことができないということになるわけだ。


③慣れというのは、良くも悪くも多大な影響を及ぼす

今の状態が続くことは、香川にとって深刻な影響を及ぼす可能性が高い。

一般的に、試合に出場できていないということは誰にでもプレーに影響するが、香川が他選手との連携やスピーディーな動きを特徴としている選手であるということが問題を深刻にする。

本来の力を発揮できるポジションで出場できないことや、そもそも試合にすら出られない状況が続くと、最高のパフォーマンスを発揮するためのフィジカルや脳の動きが鈍くなる。

その結果、反応がコンマ何秒か遅れたり、判断にミスが出やすくなる。

実は、これが最も怖いことである。


一瞬一瞬の判断スピードとテクニカルな動きが香川の真骨頂であり、それは本来の適正なポジションで試合に出続けることでしか成長しえないし、維持すらも困難な特殊なスキルだ。

この状況に慣れてしまうことは、香川のパフォーマンス低下、プロ選手としての価値の毀損につながりかねない。


レンタル移籍でも良い。
一刻も早く、トップ下で出場できる他チームへ移籍して、かつての輝きを取り戻してほしい。

かつて、アトランタオリンピックで前園にトップ下を譲り、自身は左サイドでプレーした中田英寿は、その後イタリアに渡り、ローマで全盛期のトッティとトップ下のポジションを争った。

スクデット獲得という結果を残した中田は、当時上位の常連クラブだったパルマの10番として移籍した。
ビッグクラブであったとしても試合出場に制限がある立場から、自身が最も輝けるポジションで試合に出場できるチームへ移ったのである。

中田は日本代表でも不動のトップ下であり続けた。
それは、所属チームでもトップ下で活躍し続けたことと決して無関係ではない。


香川よ。勇気を持って変化を恐るな。
ドルトムントに戻っても、2年前にはなかったものが必ず見つかるはずだ。

世界最先端のサッカー戦術とチームメイト。
現在の最強チームである宿敵バイエルン。
そのどちらも今の環境のままでは決して得られない成長の糧となるだろう。


そして、現在の日本代表においても、香川をトップ下としたチーム作りこそが、世界を驚愕させる結果に導く唯一の道であるということを証明してほしい。

今の状態は、香川にとっても日本代表にとっても不幸なことなのだから。