2013年8月21日水曜日

消費税を増税で倒産件数が増える意外な理由と、景気を下げずに税収を上げるための方法

消費税増税の議論が佳境を迎えている。

来年の4月に本当に増税するならば、様々な準備を考えると期限ギリギリのところだ。

これ以上先延ばしすると、各企業が価格表示変更するための準備が間に合わなくなる。

少なくともマーケティング計画や事業計画を大幅に変更する必要があり、多大な影響がでてくる。


というわけで今回のブログでは、現代のようにグローバル化が進み、世代間格差・収入格差が広がり、少子高齢化が進んでいくような日本において、今の消費税という仕組みが、本当に適切なのかという点から考えてみたい。

消費税はいわゆる間接税であり、日本では約10兆円の税収がある。
これに、法人税や所得税などが加わり、トータルの税収が40兆円と少し。

実は、国全体の税収に占める消費税の割合は、思っているほど大きくないのだ。

なので、現在5%の消費税が8%に上がったところで、増税効果は単純計算で5兆円程度だろう。
しかし、その分景気が落ち込んで消費額が下がったり、それによって企業業績が落ちて法人税収が下がったりすると、行って来いで全体としては増収とまで言えなくなる可能性がある。


高度経済成長時ではないのだから、これから消費する額が増える要素は少ない。
むしろ、モノが溢れて高齢化が進んでいくのだから、消費額は落ちていくだろう。

そのような社会構造の中で、アベノミクスでは無理矢理消費額を増やそうというキャンペーンをやっているわけだが、中長期的に考えればやはり無理がある。


また、現在の日本の消費税制度には根本的な問題が2つある。

1つは、負担をするのは消費者である国民なので、その税率は景気の動向に直結するのに、実際に国に納める納税義務者は企業(売上1000万円以上の事業者)であるという点だ。
この点において、消費税は本来得られるべき税額を全額回収できているわけではないという事実がある。

消費税は、企業が販売先から売上とともに回収して一旦プールしておき、自社で支払った消費税額と相殺してその増減分だけを国に納める仕組みとなっている。

この企業がプールして後で納税するということがポイントで、デフレで不景気の昨今、消費税を滞納している企業は相当数あり、金額も莫大だ。
それを回収するための社会コストも相当なもので、トータルで考えた時に本当に公平な税制なのかというと、非常に疑問である。



上図は国税庁が公表している新規滞納発生額の推移である。
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/sozei_taino/

これを見ると、他の税収項目は滞納発生額が順調に減ってきているのに対して、消費税は相対的に減り幅が小さい。

しかも、平成9年に消費税が3%から5%に上がった結果、翌年の平成10年には新規滞納額が一気に増えている。

おそらく、今回も同じように増税時に滞納額が増えるだろう。

事業者が一時預かった消費税は、支払うまでの期間、その事業者の資金繰りに転用されることがままあるからだ。
その結果、本来支払わなければならない消費税を支払い期日に払えずに滞納し、未回収となってしまうのである。
今回、税率が上がって8%、10%となれば、一気に支払わなければならない税金の額も倍になる。
それだけ資金繰りに与える影響は大きくなるため、キャッシュフロー管理が徹底できていない企業や資金繰りに窮している企業の首を絞めることになるだろう。

予言しておく。

消費税増税によって、景気が悪くなることと合わせて、企業の資金繰りを不安定にさせることが影響し、倒産件数は増えると思う。

平成10年も一気に倒産件数が増えている。


西暦(邦暦) 倒産件数 負債総額
1990(H 2)年 6,468 1,995,855
1991(H 3)年 10,723 8,148,750
1992(H 4)年 14,069 7,601,499
1993(H 5)年 14,564 6,847,689
1994(H 6)年 14,061 5,629,409
1995(H 7)年 15,108 9,241,100
1996(H 8)年 14,834 8,122,881
1997(H 9)年 16,464 14,044,704
1998(H10)年 18,988 13,748,377
1999(H11)年 15,352 13,621,436
2000(H12)年 18,769 23,885,035
2001(H13)年 19,164 16,519,636
2002(H14)年 19,087 13,782,431
2003(H15)年 16,255 11,581,841
2004(H16)年 13,679 7,817,675
2005(H17)年 12,998 6,703,458
2006(H18)年 13,245 5,500,583
2007(H19)年 14,091 5,727,948
2008(H20)年 15,646 12,291,953
2009(H21)年 15,480 6,930,074
2010(H22)年 13,321 7,160,773
2011(H23)年 12,734 3,592,920
2012(H24)年 12,124 3,834,563


またもう1つの観点として、海外へ販売した商品については、消費税はかからないという点がある。
例えば、原材料などを仕入れるときには消費税を支払い、それを加工して海外に販売すれば、支払った消費税は還付される。つまり戻ってくるのである。

具体的な数字で考えると、
原材料を100万円仕入れた。消費税は5万円。
この原材料を使って加工し、日本国内で100万円の売上、海外で100万円の売上をたてた。
日本での売上100万円に対しては消費税が加算されて5万円。海外売上分にはかからない。
したがって、この場合の消費税は差し引き0円となる。

次の場合はどうだろう。
原材料を100万円仕入れた。消費税は5万円。
この原材料を使って加工し、海外で200万円の売上をたてた。
日本では販売していないので、支払った消費税分の5万円は還付される。
あれ、この企業は日本の資本を使って生産し売上をたてているのに、消費税は負担しないということになる。

ではどこが負担するのか、原材料の仕入れ先である。
仕入れ先は海外から80万円で仕入れて、メーカーに100万円で販売した。

仕入れ時に消費税4万円を支払うが、販売時に5万円の消費税を得ているため、
差額の1万円を国税として納付するわけだ。

ということは、この一連の流れで、結局消費税は1万円しか納付されておらず、それはつまり、国内で流通付加価値(この場合は100万円ー80万円の20万円に対する5%)として消費税額が決定されているということになるのだ。

しかも、ではその原資はどこから来たのかと言えば、国からの還付金なわけで、税収が上がるどころか、むしろ下げる要因にさえなっているという現実があるのだ。


したがって、経団連のような大手メーカーが消費税増税に賛成しているのは、海外売上比率が高くなった今となっては、自社にはほとんど影響がないからである。

これは、いわゆる最終消費者が負担すべきという税金の趣旨から考えて、全くおかしい。

この点については、あまり報道されないのだが、ビジネスの実務に携わっているととても不思議で理解不能なのである。


というわけで、現在の消費税の税制と徴収方法は、現代の社会構造に適応していないと言えるのだ。

ではどうすれば良いのか。


事業者に売上課税すれば良い。
たとえば日本での売上に対しては全数2%の売上税を課税する。

これによって、仮払い消費税という項目はなくなり、売上高のみに対して課税すれば良くなる。

売上規模によって課税率を変えてもいい。

売上課税にしておけば、毎月概算で支払っておいて、決算時に調整ということでも十分対応可能なはずだ。

所得税は年末調整でやっているのだから、企業の売上課税も同じようにできるだろう。


それに、今の税制では、海外に本拠地をおく企業が日本で販売しても、消費税を課税できない。
アマゾンの電子書籍などは、よくそのやり玉に挙げられている。


そういうことを鑑みても、日本の消費活動に対して、直接的に公平に課税するためには、事業者に対する売上課税が適する時代になったのではないかと思えるのだ。

政府には、単に増税するしないという短絡的な議論ではなく、税制そのものをどのように時代の変化に合わせていくかという観点でも考えてほしい。





0 件のコメント: