2013年6月26日水曜日
ザッケローニ解任議論に思う
ザッケローニを解任すべき、継続すべきという議論が活発になっている。
僕は以前からブログで書いているように解任派である。
結局、何を優先するかで判断基準は変わるのだ。
僕の判断基準は、1年後のワールドカップで、8強を目指せるのかという点。
それが実現できるかどうかという観点では、先日のコンフェデはいいシミュレーションになるはずだった。
戦術や采配、コンディション調整など、ザッケローニを批判するポイントはいくつかあるのだが、僕が最大に問題だと思ったのは、コンフェデやワールドカップを勝ち抜くための「戦略的チームマネジメント」にインテリジェンスを感じなかったことだ。
ワールドカップは、アジア予選のような長期間にわたってホーム&アウェイ方式で行われる試合と違い、
・1次リーグで3試合
・その後は負けたら終わりのトーナメント方式
である。
もし、日本が本気でワールドカップ優勝を狙うのであれば、1次リーグから決勝までで、7試合も戦わなければならない。
当たり前であるが勝ち上がればそれだけ強豪との対戦になるわけで、今回3敗したブラジル、イタリア、メキシコにだって勝ち続けるということができなければ、優勝などは到底難しいわけだ。
また、決勝トーナメントに勝ち上がるためには、1次リーグで最低でも勝ち点4が必要になる。
つまり、最低1勝、1引き分け以上ということである。
なおかつ、勝つときは出来るだけ得点し、負けるときは失点を最小限にできた場合に限られる。
そう考えたときに、今回のコンフェデをどのような戦略をもって戦おうとしていたのかという視点が重要になると思う。
対戦国のブラジル、イタリア、メキシコという顔ぶれは、確かに難しい。
しかし、実際のワールドカップの1次リーグにおいても、いわゆる死のグループというのはこれくらいの強豪ぞろいになることもあり得る。
そういう意味で、このような強豪ぞろいのグループを突破し、決勝トーナメントでも1回か2回は勝ち上がるという経験を積むためには絶好の機会だったはずである。
僕ならばこう考える。
第1戦のブラジルはホームゲーム。チーム力的にも大きな差があることは明確。
したがって、最小失点での負けを覚悟する。徹底した守備と数少ないカウンター攻撃でなんとしても先制点を与えない試合をする。
第2戦のイタリア戦は、0−0もしくは1−1程度の引き分け狙い。
基本的にはブラジル戦と同様の戦い方をする。
しかし、イタリアはブラジルと違ってそこまで攻撃的ではないので、ボールポジェッションが高くなりがちなため、むしろイタリアのカウンターに気をつけなければならない。
あくまでも勝ちを意識しすぎないこと。
もし先制点をとったら徹底的に守備的にゲームを進める。
第3戦のメキシコ戦は、勝たなければいけない試合。
このとき、メキシコが前の2ゲームで2敗していれば1次リーグ突破の可能性はないが、1分け程度なら、可能性がある。
つまり、どちらも勝たなければいけない試合になる。
そういうゲームでは先制点をどちらがとるのかが最も重要であり、自然とスコアが動きにくい締まったゲームになる。
こういうときのために、飛び道具となるセットプレー、フリーキックが得意な選手を入れておきたい。
とても参考になるのは、ロンドンオリンピックの日本代表だ。
1次リーグはスペインに1−0、モロッコに1−0、ホンジュラスに0−0。
決勝トーナメントはエジプトに3−0、メキシコに1−3、3位決定戦で韓国に0−2。
やはり、初戦、2戦目で良い戦いをしたことが、ベスト4進出に繋がったことは間違いない。
このときの日本代表は、明らかに0−0、1−0程度を目標とした戦術とフォーメーションをとっていた。
それでもメキシコ戦になるとすでに疲労がピークに達して、永井のスピードも封じられてしまい手詰まりになってしまったほどだ。
それだけ、短期間のカップ戦で上位に進出することは難しいのである。
ワールドカップで優勝しようと思えば、1次リーグの最初の2試合で2勝して、3試合目はターンオーバーで控え選手中心で戦って主力は温存する。
決勝トーナメントも、なるべく控え選手をうまく使って、かつ省エネな試合運びができるチームでなけばならない。
イタリアがワールドカップで強いのは、チームレベルが高いうえに、短期間に7試合を一定レベル以上のパフォーマンスで乗り切ることができるような戦術をとっているからである。
ロンドンオリンピックのなでしこジャパンがまさにこのような戦い方をして決勝まで勝ち上がった。
女子はすでに世界の強豪としての戦い方を身につけて、実際に実践できているわけだ。
これは、選手そのものも頑張っていることは確かであるが、佐々木監督の力量によるところが多分に大きい。
女子は男子と比較にならないくらい外国選手と体格差があるが、日本人らしく世界と戦える戦術をしっかりとマネジメントして作り上げている。
ほんと、佐々木監督に男子もみてほしいくらいだ。
それらを踏まえたうえで、今回のコンフェデを振り返ると、やはり最初から戦略的なチームマネジメントではなかったと言えるのではないか。
ブラジル戦はいつもと違って本田の1トップで望んだが、絶対に失点しないという布陣ではなかった。
できればボランチの底にアンカーを1人置いて、守備に厚みを持たせてもよかった。得点はセットプレーとカウンターだけと割り切って良かった試合だったのだ。
早々にネイマールに鮮やかなシュートを決められて意気消沈。
初戦0−3は最悪のスタート。せめて0−2までが許容範囲だ。
それでもイタリア戦とメキシコ戦如何では可能性があったわけだが、どういうわけか、イタリア戦は思いっきり勝ちにいってしまう。
まあ、気持ちはわからなくないが、攻めればカウンターを食らうわけで、それはイタリアが最も得意とする戦術である。
イタリア戦を評価する人も多いが、そんなものは負けたわけだから全く意味のない賛評だ。
先に2点取れてしまったものだから、守備的意識は緩んでしまった。
結果として大味なゲームになったため、地力の差が最後にでたゲームだったと言えるだろう。
メキシコ戦は消化試合になってしまったから、あまり評価する価値はない。
それでも内容的には完敗だから、はっきり言って、希望など見いだすことはできなかった。
どの試合も、カップ戦を戦い抜くという意思と戦術を感じなかったのが残念だった。
とても場当たり的。
目の前の試合だけしか考えていないような采配。
しかも、そのゲームプランも的を得ていないので、自分たちの実力を発揮しきれないまま終わったという感じだ。
なんというか、インテリジェンスがないのだ。
このチームに中田英寿や小野伸二がいたら、もっと違っていたかもしれない。
中盤で基点となれるのが遠藤1人という現状にも、限界を感じる。
今の日本の実力では、正攻法で戦って上位進出することなど高望みなだけの自意識過剰でしかないわけで、現実的な目標として8強というラインをクリアするために、どのようなプランを描けるかではないだろうか。
まだまだ世界とは差がある。
トラップ技術、キックの精度、オフザボールの動き
この基本となる3つの要素が、世界のトップレベルとは大きな差がある。
世界的に通用するのは香川くらいだろう。
少なくとも、半分くらいが香川レベルにならなければ、個で対抗することなどできやしない。
それには何十年もかけて育成システムから変えていかなければならない。
現実的に今のチームをベースに考えるのであれば、孫子の兵法の定石どおり、弱者の戦略をとるしかないのだ。
つまりは奇襲である。
決して、正攻法ではない。
正攻法で善戦しても、負けては意味がないのだ。
奇襲でも勝てば官軍なのだから。
日本のサッカースタイルはまだ国の色といえるほど確立しているわけではない。
それが華麗なパスサッカーなのか、カウンターサッカーなのか、それとも何か違うスタイルなのか。
まだまだ模索している最中なのだから、自分たちの力を客観的に評価して、賢く戦ってほしい。
そういうインテリジェンスを持った人に監督としてチームを率いてもらいたい。
残念ながら、ザッケローニにその素養を感じない。
特にイタリア戦が決定的だった。
強豪国相手に打ち合いになったら地力の差がでることくらいは誰だってわかる。
そうならないような戦術をとらなければいけないのに、逆にブランデッリに見事な采配をされてゲームをひっくりかえされてしまった。
試合後、ベンチワークの差で情けない負け方をしたにも関わらず、ヘラヘラと笑いながら手をたたいていたザッケローニを見て、これはだめだなと諦めた。
明らかに満足した表情だったからだ。
これでは1年後の結果は見えている。
たまたま1次リーグの対戦相手に恵まれても、2位通過で16強どまり。
残念ながら、それ以上の上位進出は難しいだろう。
「今のままなら」、かなりの確率で1次リーグ敗退が濃厚である。
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